・不正受給ってどんな時になる?
・不正受給した場合は、どうなる?
・気を付けるべきことは?
今回も持続化給付金についてのお話です。
持続化給付金の対象者に関しては、別記事「持続化給付金を受けるための条件とは?」をご確認ください。
前回に引き続き、個人事業の方を前提にお話しをさせていただきます。
今回は持続化給付金の中で、個人的に一番気になっている部分です。
それは『不正受給』について。
今回の持続化給付金の詳細を見たときに、結構緩い条件だと思ったからです。
では、確認をしていきます。
不正受給をすると、どうなる?
まずは、不正受給時の対応について。
提出した書類から、怪しいと判断された場合には、まず調査を行うとのこと。
そして、不正受給と判断された場合は、、、
①「給付金の全額を返還」
②「年3%の延滞金」
③「①と②の合計の20%に相当する額」
④「屋号等の公表」
⑤(悪質な場合には)刑事告発
特に気にすべきは、①から③でしょう。
個人事業の最大100万円受給していた場合には、最低でも120万円以上の返還は確定です。
④に関しては、公表されるので、銀行や取引先などへの印象が下がります。
⑤に関しては、そうそうないとは思いますが詐欺罪などでの告発ということでしょう。
不正受給と悪質な場合の判断は?
あとは、①から④と、⑤で扱いが違います。
⑤は悪質な場合ということなので、悪質じゃない場合でも、調査の結果、不正と判断された場合には①から④は適用されるのでしょう。
不正受給の判断に関しては、規定(第7条五)に書かれています。
こちらで、「刑法上の犯罪を構成するに至らない場合であっても、故意 に基本情報等に虚偽の記入を行い又は偽りの証明を行うことより、本来受けることができない給付金を受け、又は受けようとすること」とされています。
※刑法上の犯罪を構成するに至ったら、悪質な場合ということですかね。。
要するに、、、「本当は要件満たしてないのに、嘘ついて申請しちゃダメだよ!」っていうことです。
逆を言うと、記入ミスなどで間違っていても問題ないので、要件を満たしている方はきちんと申請しましょう!
不正受給ではなくても、怪しまれそうなことは?
では「本来受けることができない給付金を受け、又は受けようとすること」とは、どういうことでしょう?
思い浮かぶところとしては、、、
・架空売上
・期をまたいでの売上調整
くらいですかね。。
要件が少ないので、いじるところも少ないです。
怪しいと思われそうな手続き
では、どんな手続きを行うと怪しいと思われるのかを考えてみます。
他にもあるかとは思いますが、今回は4つ。
A.2019年の確定申告で、売上漏れの修正を行う。
B.開業届出書を未提出(2020年4月1日後に提出)
C.すぐに事業廃止
D.今まで確定申告をしていなかったのに、急に過去の確定申告を行う。
A.2019年の確定申告で、売上漏れの修正を行う。
実際に、売上処理が間違っていて、修正を行うこともあるので、そこまで怪しくはないです。
損失などがなければ、売上漏れは所得税や消費税の納税が発生しますし、正しい処理なので。
ただし、当初の売上で給付対象外で、修正することで給付対象になると、若干怪しまれるのかも・・・
B.開業届出書を未提出(2020年4月1日後に提出)
これは単体では問題ないです。
ただし、CやDとセットになったときに怪しさがかなり大きくなります。
開業届出書は、青色申告の申請書と違って、優遇を受けたりするようなものではないので、提出をしていない方もいるかもしれません。
または、本当に知らなかったという方もいるかもしれません。
ただし、本来であれば、「事業の開始等の事実があった日から1月以内に提出」とされています。
「知らなかっただけ」なのか、「故意的に出さなかった」のか。
ここが微妙です。
元々、提出をせずに、バレなかったら確定申告しなくて(税金を払わなくて)済む、と思っている方も少なからずいるでしょう。
売上の規模が小さいと、最大100万円の給付を受け取れないことがあります。
その場合には、2019年に開業した方であれば、「納付額に関する特例(B-1)」があります。
その際に提出するのが、「開業届出書」です。
※厳密には、開業日が2019年12月31日以前、かつ、提出日が2020年4月1日以前とされていますけどね。
給付金目的、もしくは特例目的で開業届出書を、2020年4月1日後にでも出している方は、若干怪しく見えるかと思います。
C.すぐに事業廃止
これはそもそもの給付金の趣旨に合っていないので、怪しまれる可能性は高いと思います。
病気やケガによって、事業を続けられなかったり、縮小などはあるかもしれません。
状況にもよると思うので、この辺りは、調査の対象となるのかと思われます。
D.今まで確定申告をしていなかったのに、急に過去の確定申告を行う。
これも、状況によりますが、BやCもセットになると、怪しさが大きくなります。
あとは、フリーランスや副業としての収入が低いと少し注意が必要だと思います。
通常であれば、確定申告は翌年3月15日までに申告しなければなりません。
ただし、2019年分の確定申告はコロナの影響で期限が延びている状況です。
なので、2019年分の確定申告をできていない方もいるかもしれないです。
その場合は、2018年分の確定申告書を提出という「証拠書類等に関する特例(A-2)」がありますので、そちらで申請できます。
ということは、2019年に開業している方は、2018年分の確定申告書がないので、2019年の確定申告をするしかありません。
収入が低い場合には、最大100万円は受け取れないこともあります。
その場合は、Bの開業届出書の提出が必要になるのです。
そのため、B・C・Dといった項目がセットになると怪しまれる可能性が高まります。
個人的に感じたこと
今回の給付金の条件や手続きを見て「随分、簡単だなぁ・・・」というのが最初の感想です。
それだけ「コロナの影響が大きく、少しでも簡素化して、スムーズに給付する必要があるのだろう」とも思いました。
少し考えたら、誰でも不正受給できるんじゃないかと思ってしまうくらい、申告や経理に慣れてる方にしたら、簡単な内容です。
国はバカではないので、そんな杜撰な給付金制度にするはずもないです。
まずは、簡単な手続きでいいから、スムーズに給付金を出せるようにする。
その分、不正受給の可能性は増えるが、それは20%上乗せの返還等のリスクを規定しておくことで、返還してもらう。
という意図なのかと思いました。
知り合いにも、税理士やコンサルタントから、簡単に手続きできますよ、と案内されたという方もいたのですが…
中には給付金の10%を報酬としてもらおうとするという話も聞きました。
当然手続きも必要なので、多少の報酬がかかるにしても、そこまでの手続きではないと思います。
さらにひどい話だと、嘘をついて申請させようとする電話なども出てきているというニュースも見ました。
それが不正受給となった場合には、その人は報酬を受け取って終わりかもしれませんが、受給してしまった方は、罰則を含めての返還が必要になります。
その際のサポートとかもするならまだしも、、、
あくまでも個人的な見解なので、参考までに見ていただければと思います。
まとめ
・嘘をついて、申請をしてはいけない!!!
・受給額に20%以上上乗せして返還!公表!場合によっては刑事告発!
・不正受給が起きる前提で、制度を作っている可能性あり!
・受けられる人は正しく手続きをして、しっかりと受け取りましょう!!